ショパンエチュードop.25-1「エオリアンハープ」について

ショパンがこの曲を演奏するのを聴いたシューマンが次のように述べているそうです。

嵐によって一瞬にしてすべての音が軽やかに鳴るエオリアンハープを頭に思い浮かべるように。
またピアニストの手から、あらゆる種類の幻想的な音のアラベスクが入り交じって流れるように。
そして荘重な低音の響きと繊細なソプラノの音が同時に連なって聞こえてくるようにする。
そうすれば、全体からエオリアンハープの音色のイメージが浮かび上がってくるであろう。

(コルトー版「ショパンエチュード」より)

つまり、この曲は、ソプラノとバスの旋律が基盤となる響きを形成していて、その中に反進行でうねる2本の分散和音が柔らかく、軽やかに響き合っているのです。
1つ1つの音がすべて聞こえるけれども、粒だちしないでうねっている和音の上に、メロディーが聞こえ、時にテノールの歌も聞こえる、まさに妙なる調べの曲なのです。

そのため、指はできるだけ立てないで、鍵盤に置いた形で弾き、手の重みを加減することで、強弱の変化をつけていきましょう。
響きの増減が自在にできるようになると、その中から浮かび上がるメロディーも表情をつけてきます。

内側のうねりの美しい響きを成立させるには、音がずれないこと、バランスがとれていることが必須です。
また、浅く弾くだけでなく、指をはなす時の衝撃音も出さないように気をつけましょう。

そして、外側のメロディーは、スラーに留意して、音が飛ぶ時もぶつ切れにならないように、最短距離で、飛ぶ角度も考えて弾きましょう。音質も考えてください。

つい、フレーズごとに止まりそうになったりしますが、できるだけ、速度記号に従って流れるように弾き、盛り上がりが作れると、ため息が出るような美しい曲が生まれるでしょう!

ショパンエチュードの勉強会について

「エオリアンハープ」の勉強会を3月15日に予定しています。

また、コロナの影響で君津のホールが休館になってしまい、先の見通しが立ちませんが、ともかく、各自取り組んでいただきたいと思います。

コラムに留意点を書きましたので、ご覧ください。

あけましておめでとうございます。

昨年はコロナのことを常に気にしつつ、行動する1年でした。
レッスンや弾き合わせの会をやっていいのか、休むべきなのか迷い続けた感じです。
でも結局、幸いなことにピアノと向き合い、楽しむことができました。

昨年経験したことで特筆すべき出来事は横浜みなとみらいホールでの録音です。
ゴルトベルク変奏曲を再度録音しようと、君津のホールを予約していたのですが、「コロナのため、ドア全開で」と言われて困りました。
そこで、キャンセル続出の横浜みなとみらいホールに打診したところドアを閉めての録音が許可されました。

7月8日当日、この録音が、緊急宣言でホールが閉まって、再開してから最初のピアノの調律、演奏になることを知りました。
数か月クローズしていたホールにピアノの音が響き、時々ピアノの調子が乱れるものの、また立ち直り、夜まで、ピアノが元気だったことに何とも言えない感動すら感じました。(この録音は今、編集中です)

やはり、ホールも楽器も演奏されてこそで、それがストップするのは悲しいことだとつくづく思います。
コロナ禍の早い収束を切に願わないではいられません。

今年も緊急宣言のニュースが流れています。
くれぐれも気をつけつつ、また、生の音を楽しむ機会を作っていけるようにしていきたいものです。

ショパンエチュードop.10-3「別れの曲」について

千蔵八郎氏の「名曲辞典」によると、ショパン自身、この曲ほど美しいものは書かなかったと考えていたそうで、ABAの作りのこの曲が、美しいAと激しく荒々しいBとでできているような分裂気味の曲ではないと思います。

まず、Aの部分はコルトーの言う通り、ポリフォニックな演奏を追求し、かつレガートで、メロディーがくっきり浮かび上がると格調高くなります。
そして、ショパンの強弱記号を守っていくと、ショパンの求める歌い方に導かれます。

最初の部分の4声の弾き方がまず大切で、メロディーは情感のある音で濃く、バスの4分音符は2声なので、2拍子に乗りつつ深く、シンコペーションのリズムは揺れを作っていきます。
問題は中声で、さわさわと薄くしたいので、2の指を食い込まないようにあまり曲げず、鍵盤から指が離れないようにして薄く弾くとうまくいきます。
ですから、2声を弾いている右手は5の指のほうに少し傾けると345の音を出しやすくなります。
この弾き方を確立すると、ほかの曲を弾く上でとても役にたちますので、コツコツ研究してください。

この曲のあらすじは、Aで「別れの時がきた」ということをしみじみ歌っていたのですが、Bに入ると、楽しかったときの思い出がよみがえり、そこからまたさまざまなことが思い出され、気分は高まっていき、はっと我に返って別れをますます惜しんでいくという曲ではないかと思います。
ですから、Bで右のミレミシと始まった後、左が遅れて入ってきますが、軽く弾くことで、右手を止めず、明るく楽しい音色で弾いてください。
また、和音の連続の部分はペダルなしでも旋律がつながるように、指が音を出す前に、手の甲を左右に動かして指をセットするようにすると、音が荒くならず、つながります。
結局、しなやかな指、手首、腕が必要なのです。さらに、アウフタクトの和音の連続は、しっかり拍を感じましょう。
そうすると、気持ちがアセアセと混乱してくる感じが出ます。アウフタクトを無視すると、拍子がずれ、和音の練習をしているかのような演奏になりますから、要注意です!

多声で弾くことに無関心で、ムードだけでこの曲を弾くと、全く品格が違ってきますので、是非、ショパンの「美しさ」を味わうべく取り組んでいただきたいと思います。

「別れの曲」の勉強会が近づいてきました。

残暑お見舞い申し上げます。コロナと猛暑で先が見えにくい状況ですが、どうやらwithコロナで、予定していた集まりを実現できそうです。
来年は6月に君津でジョイントコンサート、9月に千葉市でピアノ講師演奏会が予定されています。
生の音を聴くという贅沢な機会を持てるよう、各自気をつけつつ、計画的に進んでいきましょう!
コラムに別れの曲のポイントを載せましたので、ご覧ください。